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2006.06.25

■心に残る「ある母と子の話 」

‥‥……━★

「最強法律相談室」に心に残る話が出ていたので,掲載させて頂きます。

http://blog.livedoor.jp/sarakure110/

ある母と子の話

奈良の放火殺人事件のニュースを聞きながら、きっとこの父親は息子を愛していたのに、それをうまく息子には伝えられなかったのだろうと思った。
 いつの日か二人がわかりあえる日は来るだろうか・・・。

 私が弁護士になって数年後、たしかまだ昭和の頃だったと思う。
 東京都大田区の商店街にある靴屋のおばあちゃんが亡くなった。一人息子のAさんが自宅兼店舗の土地建物を相続しようとして戸籍を取り寄せたところ、相続できないことがわかって相談に来所された。
 戸籍ではおばあちゃんは後妻で、Aさんは先妻のこどもだった。つまりおばあちゃんとAさんの間には養子縁組をしない限り親子関係がなく、相続はできない。驚いたことにAさんは、戸籍を見るまでずっと実の親子だと思っていたという。
 おばあちゃんには他に子供はいないというので、法定相続人であるおばあちゃんの姉妹のところに出向き、土地建物をAさんに贈与することの了解を得て、司法書士に書類を渡した。
 数日後司法書士から電話があり、登記できないという。
 実はおばあちゃんは、Aさんの家に後妻に来る前に結婚と離婚をしており、そこに実の息子がいることがわかったのだ。実の息子は当然第1順位の法定相続人。
 しかたないので、都内にある実の息子の家を訪ねた。
 夏の暑い日だったが、60代の息子は裏庭で日曜大工をしていた。玄関先で用件を告げ、戸籍謄本を見せたが、息子は不思議そうに見つめていた。
 「すみません。私には母親はいませんので、お帰りください」
 「えっ母親のない人はいないでしょう。戸籍にだって」
 「母はおりません」
 どうしてもそれ以上口をきいてくれないので、やむを得ずその日は引き上げた。
 何かあるなと思って調べてみたところ、おばあちゃんの妹から、あの子は、ある日突然母親がいなくなったので、毎日門の前に立って、母親が帰って来るのを待っていた、でも帰ってこなかったので自分は捨てられたと言って泣いていた、という話を聞いた。
 きっと母親には母親の事情があって離婚したのだろうが、50年間自分は捨てられたと思い込んでいる息子の心をときほぐすのは容易でないだろう。
 思案に暮れていたある日、Aさんがおばあちゃんのタンスから写真が見つかったと言って持ってきた。実の息子の七五三の写真だった。タンスの引き出しの一番奥に封筒に入れて大切そうに置かれていたという。黄色くなった写真を見つめていると、50年間この写真を持ち続けたおばあちゃんの気持が伝わってきたので、これはぜひ実の息子に見せるべきだと思い、そのまま郵送した。

 数日後Aさんから電話があり、実の息子がAさん宅にやってきて、泣きながら線香をあげていたという話を聞かされた。贈与の書類も持参されて、問題はすべて解決したという。大変立派な方で、後日お礼のお金を持参したが、私にはその資格がないといって固辞された。

 50年後、死んでからではあったが、母親の心はようやく息子にも伝わったと思っている。
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★今日の一言
NHKの「チャングムの誓い」もいい話だ。努力がまわりの人の力を引き寄せて報われていく展開。現代でいえば「ブログ」も実情が反映されていくと言う点では,同じ効果がある。
いよいよ次回以降の「チャングムの誓い」が目が離せない。出来ればもっと早い時間帯に放送して欲しい・・・。

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