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2007.07.21

■最高裁・・・同一貸主の場合で基本契約が無い?場合の「充当判例」(破産免責後?)

‥‥……━★

こんばんは。

それにしても,ここ数日の最高裁判決は連続ですね。まるで,航空機が滑走路に降りる順番を待っているかのような感じがします。今後も順次増えていくのでしょう・・・。

第一報は,あさぎり様にコメント欄で教えていただきました。私も昨日は「最高裁HP」を見ていなかったので気づきませんでした。改めてお知らせいただきまして,ありがとうございます(最高裁HPもこれからは,こまめに見ないと・・・。)

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http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=34959&hanreiKbn=01

■最高裁判例  
                                       

事件番号平成18(受)1534
事件名不当利得返還請求事件
裁判年月日平成19年07月19日
法廷名最高裁判所第一小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集巻・号・頁

原審裁判所名東京高等裁判所   
原審事件番号平成17(ネ)5065
原審裁判年月日平成18年05月30日

判示事項
裁判要旨同一の貸主と借主の間で基本契約に基づかずに切替え及び貸増しとしてされた多数回の貸付けに係る金銭消費貸借契約が,利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものと解された事例
参照法条
全文全文 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070719150512.pdf       

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主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

理由
上告代理人山田有宏ほかの上告受理申立て理由第1について

1 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1) 上告人は,貸金業の規制等に関する法律3条所定の登録を受けて貸金業を
営む貸金業者である。

(2) 上告人は,昭和61年ころから平成16年4月5日までの間,Aに対して
金銭を貸し付け,Aから返済を受けるということを繰り返していた。両者の間の平
成5年10月25日以降の貸付け(以下「本件各貸付け」という。)及び返済の状
況は,第1審判決別紙3のとおりである。本件各貸付けにおいては,元本及び利息
制限法1条1項所定の制限利率を超える利率の利息を指定された回数に応じて毎月
同額を分割して返済する方法(いわゆる元利均等分割返済方式)によって返済する
旨の約定が付されていた。

(3) 本件各貸付けは,平成15年7月17日の貸付けを除き,いずれも借換え
であり,従前の貸付けの約定の返済期間の途中において,従前の貸付金残額と追加
貸付金額の合計額を新たな貸付金額とする旨合意した上で,上告人がAに対し新た
な貸付金額から従前の貸付金残額を控除した額の金員(追加貸付金)を交付し,そ
れによって従前の貸付金残金がすべて返済されたものとして取り扱うというもので
あった。上記借換えの際には,書類上は,別個の貸付けとして借入申込書,契約
書,領収書等が作成されているが,いずれの際も,Aが上告人の店頭に出向き,即
時書面審査の上,上記のとおり追加貸付金が交付されていた。上告人は,Aに対
し,約定どおりの分割返済が6回程度行われると借換えを勧めていた。

(4) Aは,平成15年4月2日に,いったん,それ以前の借入れに係る債務を
完済するための返済をしたが,その約3か月後である同年7月17日には,従前の
貸付けと同様の方法と貸付条件で貸付けがされ,平成16年1月6日,従前の貸付
けと同様の借換えがされ,その後同年4月5日まで元本及び利息の分割返済が重ね
られた。

(5) Aは平成16年7月28日に破産宣告を受け,被上告人が破産管財人に選
任された。

2 本件は,被上告人が,上告人に対し,Aが破産宣告前に上告人との間の金銭
消費貸借契約に基づいてした弁済につき,利息制限法1条1項所定の利息の制限額
を超えて利息として支払われた部分(以下「制限超過部分」という。)を元本に充
当すると過払金が発生しているとして,不当利得返還請求権に基づき過払金の返還
等を求める事案である。

原審は,本件各貸付けは1個の連続した貸付取引であり,その元利充当計算は各
取引を一連のものとして通算してすべきであって,Aが支払った制限超過部分が元
本に充当された結果過払金が発生し,その後に新たな貸付けに係る債務が発生した
場合であっても,当該過払金は新たな貸付けに係る債務に充当されるものと解すべ
きであると判断して,被上告人の上告人に対する不当利得返還請求を一部認容し
た。

所論は,過払金の充当に関する原審の上記判断の法令違反をいうものである。

3 前記事実関係によれば,本件各貸付けは,平成15年7月17日の貸付けを
除き,従前の貸付けの切替え及び貸増しとして,長年にわたり同様の方法で反復継
続して行われていたものであり,同日の貸付けも,前回の返済から期間的に接着
し,前後の貸付けと同様の方法と貸付条件で行われたものであるというのであるか
ら,本件各貸付けを1個の連続した貸付取引であるとした原審の認定判断は相当で
ある。

そして,本件各貸付けのような1個の連続した貸付取引においては,当事者は,
一つの貸付けを行う際に,切替え及び貸増しのための次の貸付けを行うことを想定
しているのであり,複数の権利関係が発生するような事態が生ずることを望まない
のが通常であることに照らしても,制限超過部分を元本に充当した結果,過払金が
発生した場合には,その後に発生する新たな借入金債務に充当することを合意して
いるものと解するのが合理的である。

上記のように,本件各貸付けが1個の連続した貸付取引である以上,本件各貸付
けに係る上告人とAとの間の金銭消費貸借契約も,本件各貸付けに基づく借入金債
務について制限超過部分を元本に充当し過払金が発生した場合には,当該過払金を
その後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解する
のが相当である。

原審の前記判断は,これと同旨をいうものとして,是認することができる。論旨
は採用することができない。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官横尾和子裁判官甲斐中辰夫裁判官泉徳治裁判官
才口千晴)

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☆今日の一言☆

今回の事例では,同一会社の場合「一連の取引は充当される事」を認められたようです。

コメント欄で「あさぎり様」が言われるように,債務者側に有利な判決のようですが・・・。

ただ単に,これでいいのか読み込みがしっかり出来ていないので,「最強法律相談室」様のコメントが出るのを待ちたいと思います。

また,今回は破産免責後の事例のようです。最高裁では「過払い金」に関しては,確か初めてではないでしょうか?

過去の破産免責後の「過払金」の判例として,ご紹介させていただきます。

Q&A過払金返還請求の手引[第2版]からの引用です。

第2章の Q2 自己破産、個人再生申立てをする場合も過払金返還請求ができるか・・・の所で「免責決定後の過払金返還請求をしても権利の濫用ではない」と短い内容ですが紹介されています。

ただ判例はCDROMには収録されておらず,東京高裁・地裁の2件の判決日(いずれもH15年)のみです。ただし収録の準備書面の書式には,東京高裁・地裁を引用してあります。

今までは次の兵庫県弁護士会HP様の判例が,私達一般的人には最新でした。

●京都地裁_平成16年(ワ)第803号_不当利得返還請求事件(平成16年11月29日言渡)http://www.hyogoben.or.jp/hanrei/hanreihtml/041129_02.html

●審級情報 控訴、第1回期日は050309
●裁判官 衣斐瑞穂(2部)  
●代理人 五十嵐

●判決要旨

原告が免責を受けたこと自体によっては,本件過払い金の返還義務はなんら影響を受けず,被告において原告の行為を信頼した結果,被告が何らかの具体的な不利益を受けているとはいえない。また,破産債権は免責後もいわゆる自然債務になるに過ぎず,原告において自らの意思で破産債権者らに対して改めて弁済する余地もある。

さらに,本件において,原告が,被告に対する本件過払金及びその詳細について認識した上で,ことさらにこれを隠匿して免責を得た,といった事実は認められない。したがって,被告に対する本件過払金の返還請求が被告や他の破産債権者との関係で信義則に反するとはいえず,被告の主張は理由がない。

右クリックで判決PDFの表示か保存を選択 (1.76MB)http://www.hyogoben.or.jp/hanrei/pdf/041129_02.pdf

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別件ですが・・・Q&A本を久しぶりに見直していて気が付いた事があります。

それはコラム欄(計2ページ)です。あまり関係が無かったので,記憶から無くなっていたようです。

内容ですが,「税の滞納処分としての過払金債権の差押え」が書いてあったということです。発刊された時点では,地方自治体が差し押さえをした例が無いと書かれていますが・・・そうです,先日ご紹介した兵庫県や神奈川県の事例が出てきましたね。

Q&A本には「自治体のメリットがあり,債務者のデメリットが一切ない」とまで書かれています。

さらにQ&A本より引用・・・「実は、納税課の職員は、福祉課の職員以上に、貧困者(高額滞納者)の収入・資産・債務状況を調査しよく把握しています。

徴税担当者は、長期高額滞納者につき取引のある貸金業者に対してその質問検査、捜査権を行使し、取引履歴を調査し、過払金債権を差し押さえる手段をとるべきです。」

と書かれています。なるほど・・・自治体が過払金をいかに早く返還してもらうかの過程が,やっと理解出来ました。今後は,破産免責後の方で滞納者がいる場合においても,同様に過払い金を見つけたら返還手続きを,して頂きたいと思います。

それにしてもQ&A本の先見性等といい・・・いろいろ書かれていたと改めて感心しました。

(今夜はこれで失礼します)

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コメント

今回の事案ですが、借換えにより新たに「借入申込書」「契約書」などがあることから、貸金業者側が契約の分断をいい、それに対して高裁も最高裁も、「1個の連続した貸付取引である」と判断したようです。
また3ヶ月間空いた後の取引(平成15年7月17日の貸付け)も、期間的に接着し、前後の貸付けと同様の方法・条件で行われたものであるから、「1個の連続した貸付取引である」としたようです。

(平成15年7月17日の貸付け)以外は、ごく単純な借換えですね。
はっきり言って、こんな単純な借換えすらも、別個取引だと主張したサラ側の無謀さにあきれます。これはあきらかに「1個の連続した貸付取引」ですよね。

<その借換え方法>(↓これのどこが別個取引なんだ!と言いたいですw)
返済の途中で、(従前の貸付金残額)+(追加貸付金)=(新たな貸付金)とし、
(新たな貸付金)-(従前の貸付金残額)=(追加貸付金)を交付し、
(従前の貸付金残額)は、すべて返済されたものとした。
○その際、書類上は、別個の貸付として「借入申込書」「契約書」「領収書」が作成されたが、
A(顧客)は、店頭で「即時書面審査」の上、(追加貸付金)が交付された。
○ 上告人(貸金業者)は、A(顧客)に、「約定通りの分割返済が6回程度行われる」と借換えを勧めた。

また、例外とされた(平成15年7月17日の貸付け)すらも、
①前回の返済から期間的に接着し(←たった3ヶ月ですよね)
②前後の貸付けと同様の方法と貸付条件で行われたものである
ということで、1個の連続した貸付取引と認められましたから、完済していても(解約はこの判決文ではわかりませんが)、空白期間が接着していたり、同条件なら1個の取引と認められることになるでしょうね。

それと、下記の文面は、最判H.19.6.7も最高裁ロプロも、引用していて「完済により別個取引かどうか?」とそれに伴う「充当問題」に関してよりいっそう強い武器になりそうです。

『当事者は、一つの貸付けを行う際に、切替え及び貸増しのための次の貸付けを行うことを想定しているのであり、複数の権利関係が発生するような事態が生ずることを望まないのが通常であることに照らしても、制限超過部分を元本に充当した結果、過払金が発生した場合には、その後に発生する新たな借入金債務に充当することを合意しているものと解するのが合理的である。
 上記のように、本件各貸付けが1個の連続した貸付取引である以上、本件各貸付けに係る上告人とAとの間の金銭消費貸借契約も、本件各貸付けに基づく借入金債務について制限超過部分を元本に充当し過払金が発生した場合には、当該過払金をその後の発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。 
原審の前記判断は、これと同旨をいうものとして、是認することができる。
論旨は採用することができない。』

投稿: あさぎり | 2007.07.21 19:49

あさぎり様

詳細な解説,誠にありがとうございます^^

さすが「あさぎり風」は分かりやすいですね,
私の分からない点もやっと分かりました。重ねてありがとうございます。

同士の方々の為にも,本文に転載させて頂きますね<(_ _)>

投稿: yuuki | 2007.07.21 23:09

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