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2007.12.17

■「文書提出命令」に観点が相違するが一歩前進かも?・・・(最高裁HPより)

‥‥……━★

こんばんは。

最高裁HPを見ていましたら,「相続に伴う件ですが,金融機関に対して取引履歴開示は守秘義務があるかどうか?・・・金融機関が第三者に対しても「取引内容等」について開示することは,金融機関側の守秘義務違反にはならない」と判断されたようです。

そして,『金融機関は,訴訟手続上,顧客に対し守秘義務を負うことを理由として上記顧客情報の開示を拒否することはできず』とあります。

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最高裁判例・判例検索システムより(12月11日付け)

(文書提出命令に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件)

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=35493&hanreiKbn=01

事件番号平成19(許)23
事件名文書提出命令に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
裁判年月日平成19年12月11日
法廷名最高裁判所第三小法廷
裁判種別決定
結果破棄自判
判例集巻・号・頁

原審裁判所名名古屋高等裁判所   
原審事件番号平成19(ラ)26
原審裁判年月日平成19年03月14日

判示事項
裁判要旨

1 金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について,当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合に,同情報は,民訴法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるか

2 金融機関と顧客との取引履歴が記載された明細表が,民訴法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえないとして,同法220条4号ハ所定の文書に該当しないとされた事例

参照法条

全文 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071214105450.pdf 

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(一部内容のご紹介)

『1 記録によれば,本件の経緯の概要は,次のとおりである。

(1) 本件の本案の請求は,Aの相続人である抗告人らが,同じく相続人であるBに対し,遺留分減殺請求権を行使したとして,Aの遺産に属する不動産につき共有持分権の確認及び共有持分移転登記手続を,同じく預貯金につき金員の支払等を求めるものである。

上記本案訴訟においては,BがAの生前にその預貯金口座から払戻しを受けた金員はAのための費用に充てられたのか,それともBがこれを取得したのかが争われている。

(2) 抗告人らは,BがA名義の預金口座から預貯金の払戻しを受けて取得したのはAからBへの贈与による特別受益に当たる,あるいは,上記払戻しによりBはAに対する不当利得返還債務又は不法行為に基づく損害賠償債務を負ったと主張し,Bがその取引金融機関である相手方(平田支店取扱い)に開設した預金口座に上記払戻金を入金した事実を立証するために必要があるとして,相手方に対し,Bと相手方平田支店との間の平成5年からの取引履歴が記載された取引明細表(以下「本件明細表」という。)を提出するよう求める文書提出命令の申立て(以下「本件申立て」という。)をした。

相手方は,本件明細表の記載内容が民訴法220条4号ハ,197条1項3号に規定する「職業の秘密」に該当するので,その提出義務を負わないなどと主張して争っている。』

(省略)

『金融機関は,顧客との取引内容に関する情報や顧客との取引に関して得た顧客の信用にかかわる情報などの顧客情報につき,商慣習上又は契約上,当該顧客との関係において守秘義務を負い,その顧客情報をみだりに外部に漏らすことは許されない。

しかしながら,金融機関が有する上記守秘義務は,上記の根拠に基づき個々の顧客との関係において認められるにすぎないものであるから,金融機関が民事訴訟において訴訟外の第三者として開示を求められた顧客情報について,当該顧客自身が当該民事訴訟の当事者として開示義務を負う場合には,当該顧客は上記顧客情報につき金融機関の守秘義務により保護されるべき正当な利益を有さず,金融機関は,訴訟手続において上記顧客情報を開示しても守秘義務には違反しないというべきである。

そうすると,金融機関は,訴訟手続上,顧客に対し守秘義務を負うことを理由として上記顧客情報の開示を拒否することはできず,同情報は,金融機関がこれにつき職業の秘密として保護に値する独自の利益を有する場合は別として,民訴法197条1項3号にいう職業の秘密として保護されないものというべきである。

これを本件についてみるに,本件明細表は,相手方とその顧客であるBとの取引履歴が記載されたものであり,相手方は,同取引履歴を秘匿する独自の利益を有するものとはいえず,これについてBとの関係において守秘義務を負っているにすぎない。

そして,本件明細表は,本案の訴訟当事者であるBがこれを所持しているとすれば,民訴法220条4号所定の事由のいずれにも該当せず,提出義務の認められる文書であるから,Bは本件明細表に記載された取引履歴について相手方の守秘義務によって保護されるべき正当な利益を有さず,相手方が本案訴訟において本件明細表を提出しても,守秘義務に違反するものではないというべきである。

そうすると,本件明細表は,職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書とはいえないから,相手方は,本件申立てに対して本件明細表の提出を拒否することはできない。

4 以上によれば,原審の前記判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は,上記の趣旨をいうものとして理由があり,原決定は破棄を免れない。そして,以上説示したところによれば,抗告人らの本件申立てを認容した原々決定は正当であるから,原々決定に対する相手方の抗告を棄却することとする。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。なお,裁判官田原睦
夫の補足意見がある。

裁判官田原睦夫の補足意見は,次のとおりである。
本件は,金融機関が顧客との取引によって得た顧客情報に係る文書の提出命令を求める事案であり,法廷意見は,本件文書は,民訴法197条1項3号の職業の秘密として保護されるべき情報が記載された文書に該らないとして原決定を破棄すべきものとしたが,原決定が,本件文書は,同号の職業の秘密を記載した文書に該るとしているところから,顧客情報と職業の秘密との関係について,以下に私の意見を述べる。

金融機関は,顧客との取引を通じて,取引内容に関する情報や取引に関連して顧客の様々な情報を取得する(以下,これらを併せて「顧客情報」という。)。これらの顧客情報は,おおむね次のように分類される。

①取引情報(預金取引や貸付取引の明細,銀行取引約定書,金銭消費貸借契約書等),

②取引に付随して金融機関が取引先より得た取引先の情報(決算書,附属明細書,担保権設定状況一覧表,事業計画書等),

③取引過程で金融機関が得た取引先の関連情報(顧客の取引先の信用に関する情報,取引先役員の個人情報等),

④顧客に対する金融機関内部での信用状況解析資料,第三者から入手した顧客の信用情報等。

このうち,①,②は,顧客自身も保持する情報であるが,③,④は金融機関独自の情報と言えるものである。

ところで,金融機関は,顧客との間で顧客情報について個別の守秘義務契約を締結していない場合であっても,契約上(黙示のものを含む。)又は商慣習あるいは信義則上,顧客情報につき一般的に守秘義務を負い,みだりにそれを外部に漏らすことは許されないと解されているが,その義務の法的根拠として挙げられている諸点から明らかなように,それは当該個々の顧客との関係での義務である。

時として,金融機関が,顧客情報について全般的に守秘義務を負うとの見解が主張されることがあるが,それは個々の顧客との一般的な守秘義務の集積の結果,顧客情報について広く守秘義務を負う状態となっていることを表現したものにすぎないというべきである。その点で,民訴法197条1項2号に定める医師や弁護士等の職務上の守秘義務とは異なる。

そして,この顧客情報についての一般的な守秘義務は,上記のとおりみだりに外部に漏らすことを許さないとするものであるから,金融機関が法律上開示義務を負う場合のほか,その顧客情報を第三者に開示することが許容される正当な理由がある場合に,金融機関が第三者に顧客情報を開示することができることは言うまでもない。

その正当な理由としては,原則として,金融庁,その他の監督官庁の調査,税務調査,裁判所の命令等のほか,一定の法令上の根拠に基づいて開示が求められる場合を含むものというべきであり,金融機関がその命令や求めに応じても,金融機関は原則として顧客に対する上記の一般的な守秘義務違反の責任を問われることはないものというべきである。』

(これは一部ですので,全体の詳細な内容につきましてはPDFでご覧下さい)

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☆今日の一言☆

第三者でも,文書提出命令で「取引履歴開示」が可能であるのですから,当事者本人ならなおさら「開示」は当然との判断と思います。

ここでの「金融機関」=「銀行」ですが,「金融機関」=「消費者金融会社」と読み直せば,今回の最高裁判決で今まで「文書提出命令」を裁判官に求めて却下された方々も,新たな道が開けるのではと思いますが・・・。

私は早合点をしやすいので,もし解釈が間違っていると思いましたらご教示の程よろしくお願い申し上げます<(_ _)>

長々となりました。

(取り急ぎ失礼します)

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