■弁護士が委託を受けた債権回収等の手段として訴訟の提起等のために当該債権を譲り受ける行為は合法!?(最高裁第一小法廷)(追記更新2)
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こんばんは。
陸上100m競争で「9秒58」の驚異的な記録を出した「ボルト選手」には驚かされますね。時速になおすと約37.5kmですか・・・速!
まだまだ記録は出る?らしいとの噂です。。。
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話は変わりますが,夏休み中の事故も多発しています。
平凡で無事故こそ何よりの「感謝」を忘れないようにしましょう。
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■債権仮差押命令保全異議申立てについての決定に対する保全抗告棄却決定に対する許可抗告事件
(最高裁判例HPより)→ http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37903&hanreiKbn=01
事件番号 | 平成20(許)49 |
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事件名 | 債権仮差押命令保全異議申立てについての決定に対する保全抗告棄却決定に対する許可抗告事件 |
裁判年月日 | 平成21年08月12日 |
法廷名 | 最高裁判所第一小法廷 |
裁判種別 | 決定 |
結果 | 破棄差戻し |
判例集巻・号・頁 |
原審裁判所名 | 広島高等裁判所 岡山支部 |
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原審事件番号 | 平成20(ラ)17 |
原審裁判年月日 | 平成20年10月08日 |
判示事項 | |
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裁判要旨 | 弁護士が委託を受けた債権回収等の手段として訴訟の提起等のために当該債権を譲り受ける行為は,公序良俗に反するような事情があれば格別,仮に弁護士法28条違反であったとしても,直ちにその私法上の効力が否定されるものではない |
参照法条 | |
全文 | 全文 |
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以下PDFより(原文をご参照下さい)→ http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090817153613.pdf
『
主文
原決定を破棄する。
本件を広島高等裁判所に差し戻す。
理由
抗告人の抗告理由について
1 本件は,A(以下「譲渡人」という。)から,譲渡人の相手方に対する金銭債権を譲り受けたと主張する抗告人が,同債権を被保全権利として,相手方の第三債務者に対する預金債権につき,仮差押命令の申立て(以下「本件申立て」という。)をした事案である。
2 原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1) 譲渡人は,平成18年5月17日,相手方との間で,相手方及び相手方の組合員が実施する外国人研修事業につき,譲渡人が中国人研修生等を日本に派遣等するために必要な経費の一部を相手方が負担し,相手方が譲渡人に対し,これを送金して支払う旨の契約を締結した。
(2) 抗告人は,弁護士であり,譲渡人から上記契約に基づく債権の回収を依頼されていたところ,平成20年2月1日,平成19年8月分~平成20年1月分の相手方の経費負担額111万円(以下「本件負担金」という。)の支払を求める本案訴訟の提起や保全命令の申立て等の手続をするために,譲渡人から本件負担金の支払請求権(以下「本件債権」という。)を譲り受けた。抗告人が本件債権を譲り受けたのは,譲渡人が日本国内に登記した支店,営業所を持たない外国法人であるため,その訴訟追行手続上の困難を回避するためであった。
(3) 抗告人は,同月8日,本件負担金の支払を求める本案訴訟を提起し,同月12日,本件申立てをした。
3 原審は,次のとおり判断し,被保全権利の疎明がないとして,本件申立てを却下すべきものとした。
抗告人が本件債権を譲り受けた当時,本件負担金の支払を求める訴訟等は係属していなかったから,本件債権の譲受けが,弁護士法28条に違反する行為であるとはいえない。しかし,弁護士の品位の保持や職務の公正な執行を担保するために弁護士が係争権利を譲り受けることを禁止した同条の趣旨に照らせば,本件負担金の支払を求める訴訟等が係属していなかったとしても,本案訴訟の提起や保全命令の申立てをすることを目的としてされた弁護士による本件債権の譲受けは,特段の事情がない限り,その私法上の効力が否定されるものというべきであり,本件債権の譲受けは無効であって,抗告人が本件債権を有しているとはいえない。
4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
債権の管理又は回収の委託を受けた弁護士が,その手段として本案訴訟の提起や保全命令の申立てをするために当該債権を譲り受ける行為は,他人間の法的紛争に介入し,司法機関を利用して不当な利益を追求することを目的として行われたなど,公序良俗に反するような事情があれば格別,仮にこれが弁護士法28条に違反するものであったとしても,直ちにその私法上の効力が否定されるものではない(最高裁昭和46年(オ)第819号同49年11月7日第一小法廷判決・裁判集民事113号137頁参照)。そして,前記事実関係によれば,弁護士である抗告人は,本件債権の管理又は回収を行うための手段として本案訴訟の提起や本件申立てをするために本件債権を譲り受けたものであるが,原審の確定した事実のみをもって,本件債権の譲受けが公序良俗に反するということもできない。
5 以上によれば,これと異なる原審の前記判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原決定は破棄を免れない。そして,更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。なお,裁判官 宮川光治の補足意見がある。
裁判官 宮川光治の補足意見は,次のとおりである。
事案にかんがみ,弁護士法(以下「法」という。)28条に関連する弁護士倫理上の問題に関し,付言しておくこととする。
本件のような取立てを目的とする債権譲受行為の私法上の効力が否定されない,さらには法28条に違反しないとされる場合であっても,その行為は,弁護士倫理上の評価を受ける。弁護士職務基本規程(平成16年日本弁護士連合会会規第70号。以下「基本規程」という。)17条は,「弁護士は,係争の目的物を譲り受けてはならない。」と定めている。基本規程は,日本弁護士連合会が,会規として,その自治機能に基づいて弁護士がその職務遂行に当たって,自律的に遵守すべき行為規範・義務規定及び目標として努力すべき職務行動指針を定めたものである。そして,基本規程17条は,弁護士の行為規範・義務規定を定めたものであり(基本規程82条),広く争いがある場合においてその目的物を譲り受ける行為を禁じており,これに違反する行為は,「品位を失うべき非行」(法56条1項)に該当するとして,懲戒の対象となり得るものというべきである。もっとも,懲戒判断は,弁護士の職務の多様性と個別性にかんがみ,事案に即した実質的な判断がなされなければならないが(日本弁護士連合会弁護士職務基本規程解説起草検討会『解説弁護士職務基本規程』135頁),取立てを目的とする債権譲受行為は,債権を譲り受けなければ,当該権利の実行に当たり支障が存在するなど,行為を正当化する特段の事情がない限り,「品位を失うべき非行」に該当するものといわなければならない。
(裁判長裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 涌井紀夫 裁判官 宮川光治 裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志)
』
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(ご参考)
(係争権利の譲受の禁止)
第28条 弁護士は、係争権利を譲り受けることができない。
http://www.houko.com/00/01/S24/205.HTM
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☆今日の一言☆
さて今回の最高裁の判断は「過払い金」に関するものではありませんが・・・そのまま読むと早とちりでなければ・・・弁護士が債権を譲り受けても問題でない(特段の事情のある場合?)
ということは,お金のある弁護士事務所が「過払い金債権」を,原告から買い取って(原告はお金が速く得られる)から時間をかけてじっくりと「金融業者」から回収してもいいようにも読めます。
もっともそんなお金持ちの「弁護士事務所」は少ないでしょうし・・・「金融業者」からの返金も分からないですから・・・。
「広告代」に使うより「債権買い取り」にお金を回して欲しい気もしますが・・・。
今回の判例は,何かの時に役立つような気もしますが?
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(追記)
そうだった・・・!これではどうだろうか?
「相手方の第三債務者」→「貸金業者」の「残債務者」と読み替えれば,既報でもお伝えした「過払い債権の譲渡トレード」ができるように思いますが。。。
つまり,例として「SFコーポレーション」等において,
①債務整理の場合一括返済でないと融通がきかない。
②弁護士が「残債務者」の権利を分割で買い取る(債務整理の方は例えば60回払いできる)
③過払い金債権者は,弁護士から分割で入金してもらう(5%や2割和解よりも条件が良い)
同様にその他の業者にも「弁護士トレードセンター(仮称)」を中心に,「残債務者」=「過払い金債権者」が有意義な取引を行なう!
うーんどうだろうか?
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明日はいよいよ「衆議院選挙」の公示日ですね。まだ先のような気がしていましたが,案外早いものです・・・。
(取り敢えず今夜はこれで失礼します)
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追記:8月21日
下記ブログ様に詳細で分かりやすい解説が出ています。ご参照下さい<(_ _)>
「最高裁、弁護士が債権回収の手段として係争物の債権の譲受をする行為は弁護士法28条違反であっても公序良俗に反しない限り私法上の効力は否定されないと判示」
(「JAPAN LAW EXPRESS」様ブログ)http://japanlaw.blog.ocn.ne.jp/japan_law_express/2009/08/28_d9f5.html
「債権仮差押命令保全異議申立てについての決定に対する保全抗告棄却決定に対する許可抗告事件」
(「金商法とか。」様ブログ)http://financelaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-0a08.html
追記:8月24日(上記の続報がでていましたので,ご参照下さい)
「ファクタリングについての補足」(「金商法とか。」様ブログ)http://financelaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-21d8.html
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(今日の一言[補足])
うーん,どうやら上記を見ると,今回の「外国」等の「特段の事情」がないと難しいようです。
ただし,弁護士が直接売買するのでない方法(債権者←→債務者)+弁護士・司法書士なら既報でご紹介のとおりです。(本来は,金融庁にも責任?があるようにも思えるのですが・・・)
既報→カテゴリ"■過払い債権の売買(トレード)"をご覧下さい。http://yuuki.air-nifty.com/go/cat21497739/index.html
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コメント
確かに、判決を無視する消費者金融などに、その様な
対抗措置を取っておられた弁護士さんが、居ましたね。
(過払い債権の売買?!)
権利の濫用とかで、最近は行われていないようでしたが。
再び、道が開かれると良いですね。
投稿: 通行人 | 2009.08.17 22:55
通行人様
いつもコメントありがとうございます。
そうですね・・・これで何か?が変わる事を期待したいのですが。。。
先ずはお礼まで(^^ゞ
(今夜はこれで失礼します)
投稿: yuuki | 2009.08.18 23:59