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2009.09.11

■平成21年9月11日最高裁判決(不当利得返還請求事件と反訴事件)・・・(「期限の利益喪失の主張」は,状況により貸金業者に「認められない場合」や「認められる場合」がある!?(追記11月24日)

‥‥……━★

こんばんは。

忙しい週末が続きます。。。

先週の金曜日(4日)に続き,本日も最高裁から判決がでました!

今度は「期限の利益喪失の主張」に関するもので2件です。

早とちりでなければ,

1件目が業者側の「期限の利益喪失を認めない」

2件目が業者側の「期限の利益喪失を認めた」(少し特殊な事例かと思いますが・・・)

という両方とも「第二小法廷」の判決です。

下記にご紹介させて頂きます<(_ _)>

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■最高裁HP→ http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37983&hanreiKbn=01

事件番号平成21(受)138
事件名不当利得返還請求事件
裁判年月日平成21年09月11日
法廷名最高裁判所第二小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集巻・号・頁

原審裁判所名大阪高等裁判所   
原審事件番号平成20(ネ)546
原審裁判年月日平成20年10月30日

判示事項
裁判要旨貸金業者において,特約に基づき借主が期限の利益を喪失した旨主張することが,信義則に反し許されないとされた事例
参照法条
全文全文         

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(原文は下記リンク先でご確認下さい<(_ _)>)

「不当利得返還請求事件」のPDF→ http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090911145206.pdf

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人矢野仁士の上告受理申立て理由( ただし,排除されたものを除く。)について

1  本件は,被上告人が,上告人に対し,上告人との間の金銭消費貸借契約に基づいてした弁済につき,利息制限法所定の制限利率を超えて支払った利息を元本に充当すると過払金が発生しているとして,不当利得返還請求権に基づき過払金の返還等を求める事案である。上告人において,期限の利益喪失特約に基づき被上告人が期限の利益を喪失したと主張することが,信義則に反するか等が争われている。

2  原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。

(1) 上告人は, 貸金業法平成18 年法律第115 号による改正前の法律の題名は貸金業の規制等に関する法律)3条所定の登録を受けた貸金業者である。

(2) 上告人は平成11 年9 月28 日被上告人に対し,400 万円を次の約定で貸し付けた(以下,この貸付けに係る契約を「本件契約」という。)。

ア 弁済方法平成11 年10 月から平成16 年9月まで毎月15日限り,元本6万6000 円ずつ(ただし,平成16年月のみ10万6000 円)を支払日の前日までの利息と共に支払う(以下,この毎月返済することが予定された元本を「賦払金」といい残元本に対する支払日の前日までの利息を「経過利息」という。)。

イ 利息年29.8%( 年365 日の日割計算)

ウ 遅延損害金年36.5%( 年365 日の日割計算)。ただし,期限の利益喪失後, 上告人は毎月15 日までに支払われた遅延損害金については一部を免除し,その利率を年29.8% とするが,この取扱いは,期限を猶予するものではない。

エ 特約元利金の支払を怠ったときは,通知催告なくして期限の利益を失い,債務全額及び残元本に対する遅延損害金を即時に支払う。

(3) ア 被上告人は上告人に対し原判決別紙1 「元利金計算書」の「年月日」欄記載の各年月日に,「支払金額」欄記載の各金額の支払をした。

イ 被上告人は第回目から第4 回目までの各支払期日( 上記(2) アで定められた支払期日をいう。以下同じ。) に賦払金及び経過利息の合計額上記(2 )ア及びイの約定により各支払期日に支払うべきものとされていた金額。以下同じ。)又はこれを超える額を支払った。被上告人は第5回目の支払期日である平成12 年2月15日には支払をしなかったが,その前に,上告人の担当者から15万円くらい支払っておけばよいと言われていたため同月16 日に15 万円を支払った。上告人は,被上告人から受領した15万円のうち9万145 0円を利息に充当し,5万8550 円を元本に充当した旨記載された領収書兼利用明細書を被上告人に送付した。

ウ 被上告人は,第6回目から第8回目までの各支払期日に賦払金及び経過利息の合計額又はこれを超える額の金員を支払ったが,第9回目の支払期日である平成12 年6月15 日の支払が困難なので,上告人の担当者に電話をかけ,支払が翌日になる旨告げたところ,同担当者からは,1 日分の金利を余計に支払うことを求められ,翌日支払う場合の支払金額として賦払金と年29.8 %の割合で計算した金利との合計額を告げられた。そこで,被上告人は,同担当者が告げた金額よりも多めに支払っておけば問題はないと考え,同月1 6日,上告人に対し15万8000 円を支払った。

エ 上告人は,第6回目の支払期日以降,被上告人の支払が支払期日より遅れた場合,支払われた金員を,残元本全額に対する前回の支払日から支払期日までの年29.8 %の割合で計算した遅延損害金及び残元本全額に対する支払期日の翌日から支払日の前日までの年36.5% の割合で計算した遅延損害金に充当し,残余があるときは,残元本の一部に充当した。被上告人は,その後,支払期日に遅れて支払うことがしばしばあったが,上告人は,被上告人に対して残元本全額及びこれに対する遅延損害金の一括弁済を求めることはなかった。

オ 被上告人は,上告人の上記のような対応から,当初の約定の支払期日より支払が多少遅れることがあっても,遅れた分の遅延損害金を支払えば期限の利益を失うことはないと信じ,期限の利益を喪失したために残元本全額を一括弁済すべき義務が発生しているとは思わなかった。上告人は,第6回目の支払期日以降,弁済を受けるたびに,その弁済金を残元本全額に対する遅延損害金と残元本の一部に充当したように記載した領収書兼利用明細書(以下「本件領収書兼利用明細書」という。)を被上告人に送付していた。しかし,被上告人は,上告人が上記のような対応をしたために,期限の利益を喪失していないものと誤信して支払を続け,上告人は,被上告人が上記のように誤信していることを知りながら,被上告人に対し,残元本全額について弁済期が到来していることについて注意を喚起することはなく,被上告人の上記誤信をそのまま放置した。そして,被上告人は,平成18 年2月17 日まで,賦払金と年29.8% の割合による金員との合計額につき,賦払金と経過利息の支払と誤信して,その支払を続け, 途中で当初の約定の支払期日より支払を遅れた場合にはこれに付加して,遅れた日数分のみ年36.5% の割合で計算した遅延損害金を支払った。

3(1)  前記事実関係によれば本件契約には遅延損害金の利率を年36.5 %とした上で期限の利益喪失後,毎月15 日までに支払われた遅延損害金については,その利率を利息の利率と同じ年29.8 %とするという約定があるというのであり,このような約定の下では,借主が期限の利益を喪失しても,支払期日までに支払をする限りにおいては期限の利益喪失前と支払金額に差異がなく,支払期日を経過して年36.5% の割合による遅延損害金を付加して支払うことがあっても,その後の支払において支払期日までに支払えば期限の利益喪失前と同じ支払金額に戻るのであるから,借主としては,上告人の対応によっては,期限の利益を喪失したことを認識しないまま支払を継続する可能性が多分にあるというべきである。

(2)  そして前記事実関係によれば上告人は被上告人が第5 回目の支払期日における支払を遅滞したことによって期限の利益を喪失した後も,約6年間にわたり,残元本全額及びこれに対する遅延損害金の一括弁済を求めることなく,被上告人から弁済金を受領し続けてきたというだけでなく,① 被上告人は,第5回目の支払期日の前に上告人の担当者から15万円くらい支払っておけばよいと言われていたため,上記支払期日の翌日に15 万円を支払ったものであり,しかも,② 被上告人が上記のとおり15 万円を支払ったのに対し,上告人から送付された領収書兼利用明細書には,この15 万円を利息及び元本の一部に充当したことのみが記載されていて, 被上告人が上記支払期日における支払を遅滞したことによって発生したはずの1日分の遅延損害金に充当した旨の記載はなく,③ 被上告人が,第9回目の支払期日に,上告人の担当者に対して支払が翌日になる旨告げた際,同担当者からは,1 日分の金利を余計に支払うことを求められ,翌日支払う場合の支払金額として賦払金と年29.8% の割合で計算した金利との合計額を告げられたというのである。

(3)  上記(2) のような上告人の対応は,第5 回目の支払期日の前の上告人の担当者の言動,同支払期日の翌日の支払に係る領収書兼利用明細書の記載,第9回目の支払期日における上告人の担当者の対応をも考慮すれば,たとえ第6回目の支払期日以降の弁済について被上告人が上告人から本件領収書兼利用明細書の送付を受けていたとしても,被上告人に期限の利益を喪失していないとの誤信を生じさせかねないものであって,被上告人において,約定の支払期日より支払が遅れることがあっても期限の利益を喪失することはないと誤信したことには無理からぬものがあるというべきである。

(4)  そして上告人は被上告人が期限の利益を喪失していないと誤信していることを知りながら,この誤信を解くことなく,第5回目の支払期日の翌日以降約6年にわたり被上告人が経過利息と誤信して支払った利息制限法所定の利息の制限利率を超える年29.8% の割合による金員等を受領し続けたにもかかわらず,被上告人から過払金の返還を求められるや,被上告人は第5回目の支払期日における支払が遅れたことにより既に期限の利益を喪失しており,その後に発生したのはすべて利息ではなく遅延損害金であったから利息の制限利率ではなく遅延損害金の制限利率によって過払金の元本への充当計算をすべきであると主張するものであって,このような上告人の期限の利益喪失の主張は,誤信を招くような上告人の対応のために,期限の利益を喪失していないものと信じて支払を継続してきた被上告人の信頼を裏切るものであり, 信義則に反し許されないものというべきである。これと同旨の原審の判断は是認することができる。論旨は採用することができない。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 中川了滋  裁判官 今井功  裁判官 古田佑紀  裁判官竹内行夫)

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■最高裁HP→ http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37982&hanreiKbn=01

事件番号平成19(受)1128
事件名貸金等請求本訴,不当利得返還請求反訴事件
裁判年月日平成21年09月11日
法廷名最高裁判所第二小法廷
裁判種別判決
結果破棄差戻し
判例集巻・号・頁

原審裁判所名高松高等裁判所   
原審事件番号平成18(ネ)241
原審裁判年月日平成19年03月23日

判示事項
裁判要旨貸金業者において,特約に基づき借主が期限の利益を喪失した旨主張することが,信義則に反し許されないとした原審の判断に違法があるとされた事例
参照法条
全文全文         

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(原文は下記リンク先でご確認下さい<(_ _)>)

「貸金等請求本訴,不当利得返還請求反訴事件」のPDF→ http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090911144946.pdf

『主文

原判決中,上告人敗訴部分を破棄する。
前項の部分につき,本件を高松高等裁判所に差し戻す。

理由
上告代理人大平昇の上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。)について

1 本件本訴は,貸金業者である上告人が,借主である被上告人Y1 及び連帯保1証人であるその余の被上告人らに対して貸金の返済等を求めるものであり,本件反訴は,被上告人Y1 が,上告人に対し,上告人との間の金銭消費貸借契約に基づいてした弁済につき,利息制限法所定の制限利率を超えて支払った利息(以下「制限超過利息」という。)を元本に充当すると過払金が発生しているとして,不当利得返還請求権に基づき過払金の返還等を求める事案である。上告人において,期限の利益喪失特約に基づき被上告人 Y1 が期限の利益を喪失したと主張することが,信義則に反するか等が争われている。

2 原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。

(1) 上告人は,貸金業法(平成18年法律第115号による改正前の法律の題名は貸金業の規制等に関する法律)3条所定の登録を受けた貸金業者である。

(2) 上告人は,平成15年3月6日,被上告人Y1 に対し,400万円を次の約定で貸し付けた(以下「本件貸付け①」という。)。

ア利息年29.0%(年365日の日割計算)
イ遅延損害金年29.2%(年365日の日割計算)
ウ弁済方法平成15年4月から平成20年3月まで毎月1日限り,元金6万6000円ずつ(ただし,平成20年3月のみ10万6000円)を経過利息と共に支払う。
  被上告人Y2 は,平成15年3月6日,上告人に対し,本件貸付け①に係る被上告人Y1 の債務について連帯保証した。

(3) 上告人は,平成16年4月5日,被上告人Y1 に対し,350万円を次の約定で貸し付けた(以下「本件貸付け②」という。)。

ア利息年29.0%(年365日の日割計算)
イ遅延損害金年29.2%(年365日の日割計算)
ウ弁済方法平成16年5月から平成21年4月まで毎月1日限り,元金5万8000円ずつ(ただし,平成21年4月のみ7万8000円)を経過利息と共に支払う。
被上告人Y3 は,平成16年4月5日,上告人に対し,本件貸付け②に係る被上告人Y1 の債務について連帯保証した。

(4) 上告人は,平成17年6月27日,被上告人Y1 に対し,300万円を次の1約定で貸し付けた(以下「本件貸付け③」といい,本件貸付け①,②と併せて「本件各貸付け」という。)。

ア利息年29.2%(年365日の日割計算)
イ遅延損害金年29.2%(年365日の日割計算)
ウ弁済方法平成17年8月から平成22年7月まで毎月1日限り,元金5万円ずつを経過利息と共に支払う。

被上告人Y4 は,平成17年6月27日,上告人に対し,本件貸付け③に係る被上告人Y1 の債務について連帯保証した。

(5) 本件各貸付けにおいては,元利金の支払を怠ったときは通知催告なくして当然に期限の利益を失い,残債務及び残元本に対する遅延損害金を即時に支払う旨の約定(以下「本件特約」という。)が付されていた。

(6) 本件各貸付けに対する被上告人Y1 の弁済内容は,本件貸付け①に係る債務については原判決別表1に,本件貸付け②に係る債務については原判決別表2に,本件貸付け③に係る債務については原判決別表3にそれぞれ記載されているとおりであり,同被上告人は,本件貸付け①,②については平成16年9月1日の支払期日に,本件貸付け③については平成17年8月1日の支払期日に,全く支払をしておらず,いずれの貸付けについても,上記各支払期日の後,当初の約定で定められた支払期日までに弁済したことはほとんどなく,支払期日よりも1か月以上遅滞したこともあった。

(7) 上告人は,被上告人Y1 から本件各貸付けに係る弁済金を受領する都度,領収書兼利用明細書を作成して同被上告人に交付していたところ,いずれの貸付けについても,上記(6)記載の各支払期日より後にした各弁済(以下「本件各弁済」と総称する。)に係る領収書兼利用明細書には,弁済金を遅延損害金のみ又は遅延損害金と元金に充当した旨記載されており,利息に充当した旨の記載はない。

3 原審は,上記事実関係の下において,次のとおり,上告人が本件各貸付けについて本件特約による期限の利益の喪失を主張することは信義則に反し許されないと判断した。そして,本件各貸付けのいずれについても被上告人Y1 に期限の利益1の喪失はないものとして本件各弁済につき制限超過利息を元本に充当した結果,本件各貸付けについては,原判決別表1~3のとおり,いずれも元本が完済され,過払金が発生しているとして,上告人の本訴請求をいずれも棄却し,同被上告人の反訴請求を一部認容した。

(1) 被上告人Y1 は,本件貸付け①,②については,平成16年9月1日の支払期日に支払うべき元利金の支払をしなかったことにより,本件貸付け③については,平成17年8月1日の支払期日に支払うべき元利金の支払をしなかったことにより,本件特約に基づき期限の利益を喪失した。

(2) しかしながら,被上告人Y1 は,本件貸付け①,②については,その期限の利益喪失後も,基本的には毎月規則的に弁済を続け,上告人もこれを受領している上,平成17年6月には新たに本件貸付け③を行い,本件貸付け③についても同被上告人はその期限の利益喪失後も弁済を継続しており,上告人が期限の利益喪失後直ちに同被上告人に対して元利金の一括弁済を求めたこともうかがわれないから,上告人は,同被上告人が弁済を遅滞しても分割弁済の継続を容認していたものというべきである。そして,本件各貸付けにおいては約定の利息の利率と遅延損害金の利率とが同率ないしこれに近似する利率と定められていることを併せ考慮すると,領収書兼利用明細書上の遅延損害金に充当する旨の表示は,利息制限法による利息の利率の制限を潜脱し,遅延損害金として高利を獲得することを目的として行われたものであるということができる。そうすると,被上告人Y1 に生じた弁済の遅滞を問題とすることなく,その後も弁済の受領を反復し,新規の貸付けまでした上告人において,さかのぼって期限の利益が喪失したと主張することは,従前の態度に相反する行動であり,利息制限法を潜脱する意図のものであって,信義則に反し許されない。

4 原審の上記3(1)の判断は是認することができるが,同(2)の判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

 原審は,上告人において,被上告人Y1 が本件特約により本件各貸付けについて期限の利益を喪失した後も元利金の一括弁済を求めず,同被上告人からの一部弁済を受領し続けたこと(以下「本件事情①」という。),及び本件各貸付けにおいては,約定の利息の利率と約定の遅延損害金の利率とが同一ないし近似していること(以下「本件事情②」という。)から,上告人が領収書兼利用明細書に弁済金を遅延損害金のみ又は遅延損害金と元金に充当する旨記載したのは,利息制限法による利息の利率の制限を潜脱し,遅延損害金として高利を獲得することを目的としたものであると判断している。
 しかし,金銭の借主が期限の利益を喪失した場合,貸主において,借主に対して元利金の一括弁済を求めるか,それとも元利金及び遅延損害金の一部弁済を受領し続けるかは,基本的に貸主が自由に決められることであるから,本件事情①が存在するからといって,それだけで上告人が被上告人Y1 に対して期限の利益喪失の効果を主張しないものと思わせるような行為をしたということはできない。また,本件事情②は,上告人の対応次第では,被上告人Y1 に対し,期限の利益喪失後の弁済金が,遅延損害金ではなく利息に充当されたのではないかとの誤解を生じさせる可能性があるものであることは否定できないが,上告人において,同被上告人が本件各貸付けについて期限の利益を喪失した後は,領収書兼利用明細書に弁済金を遅延損害金のみ又は遅延損害金と元金に充当する旨記載して同被上告人に交付するのは当然のことであるから,上記記載をしたこと自体については,上告人に責められる理由はない。むしろ,これによって上告人は,被上告人Y1 に対して期限の利益喪失の効果を主張するものであることを明らかにしてきたというべきである。したがって,本件事情①,②だけから上告人が領収書兼利用明細書に上記記載をしたことに利息制限法を潜脱する目的があると即断することはできないものというべきである。

 原審は,上告人において,被上告人Y1 が本件貸付け①,②について期限の利益1を喪失した後に本件貸付け③を行ったこと(以下「本件事情③」という。)も考慮し,上告人の期限の利益喪失の主張は従前の態度に相反する行動であり,利息制限法を潜脱する意図のものであって,信義則に反するとの判断をしているが,本件事情③も,上告人が自由に決められることである点では本件事情①と似た事情であり,それだけで上告人が本件貸付け①,②について期限の利益喪失の効果を主張しないものと思わせるような行為をしたということはできないから,本件事情③を考慮しても,上告人の期限の利益喪失の主張が利息制限法を潜脱する意図のものであるということはできないし,従前の態度に相反する行動となるということもできない。

 他方,前記事実関係によれば,被上告人Y1 は,本件各貸付けについて期限の利益を喪失した後,当初の約定で定められた支払期日までに弁済したことはほとんどなく,1か月以上遅滞したこともあったというのであるから,客観的な本件各弁済の態様は,同被上告人が期限の利益を喪失していないものと誤信して本件各弁済をしたことをうかがわせるものとはいえない。
 そうすると,原審の掲げる本件事情①ないし③のみによっては,上告人において,被上告人Y1 が本件特約により期限の利益を喪失したと主張することが,信義則に反し許されないということはできないというべきである。

5 以上によれば,原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原判決中,上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして,更に審理を尽くさせるため,同部分につき本件を原審に差し戻すこととする。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 竹内行夫  裁判官 今井功  裁判官 中川了  滋裁判 官古田佑紀)』

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☆今日の一言☆

しっかり読み込めていないため,どうも早とちりにもなりそうです。。。間違いがあれば訂正させていただきます<(_ _)>

それにしても最高裁の判例は週末によく出ていますが・・・,9月にこれだけ毎週出るのはある意味「異常」な状況です??

「弁護士」「司法書士」の方からの記事が出ましたら,追記でご紹介させて頂きます。

(取り急ぎこれで失礼します)

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追記:

司法書士様ブログに記事がありましたので,ご紹介させていただきます<(_ _)>

過払いについて最高裁判決

(「札幌発 債務整理・過払い請求司法書士ブログ」様 9月11日付けより抜粋ご紹介)
http://www.shihoshoshiblog.com/sakumaoffice/item_10895.html

『 本日9/11に最高裁で、遅れ遅れに払っていた債務者に一括返済を求めなかった貸金業者において,今になって特約に基づき借主が期限の利益を喪失した旨主張することが,信義則に反し許されないと判断された。これは朗報であるが、この主張をしてくる業者は限られている。

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1件目の「不当利得返還請求事件」について,簡略でとても分かりやすいですね。安心しました(^^)

2件目は商工ローン系?かも知れませんが,この判例を今後一般業者も使うかも知れません。。。どうも最高裁平成21年7月10日,14日判決より,最高裁平成21年4月14日判決の系統ではないかと思われます。。。

(また明日以降見直してみたいと思います)

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追記2(9月13日)

「信義則に反し許されないと判断された(原審大阪高裁)」最高裁の判例は,「シティズ」の上告審だったようです。
以前ご紹介させていただいたと思いますが・・・,下記「司法書士」様ブログに書かれていました。慎んでご紹介させていただきます<(_ _)>

期限の利益喪失の主張を信義則違反とした最高裁判決
(「司法書士内藤卓のLEAGALBLOG」様ブログ 9月13日付より抜粋ご紹介)
http://blog.goo.ne.jp/tks-naito/e/69382d9095fa031b0575cb66dafde232

『 

平成21年9月11日最高裁第2小法廷判決
「貸金業者において,特約に基づき借主が期限の利益を喪失した旨主張することが,信義則に反し許されないとされた事例 」
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37983&hanreiKbn=01

 シティズ事件(原審大阪高裁)の上告審で,上告棄却である。・・・』

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また下記ブログ様では,ここ最近の最高裁判決についてまとめて解説されています。こちらは初めてのご紹介になります<(_ _)>

貸金関係の最高裁判決が4件も 品川のよっちゃんのほうむ話(9月13日付)http://eyochan-home.cocolog-nifty.com/blogdayo/2009/09/4-0c1a.html

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追記3(9月14日)

「シティズ」は(大阪高裁)だけと思っていましたが,どうやら「高松高裁」もそうだったようです。今回「シティズ」は1勝1敗という形になったようです。初めてのご紹介になります<(_ _)>

シティズを当事者とする平成21年9月11日最高裁判決
(「過払い研究室」様ブログ 9月14日付けより抜粋ご紹介)
http://blog.livedoor.jp/legalpartner/archives/952866.html

『 シティズを当事者とする大阪高裁、高松高裁の上告審の判決が
平成21年9月11日言い渡されました。 ・・・』

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「シティズ」(大阪高裁)判決分で詳しく解説されていました。慎んでご紹介させていただきます<(_ _)>

追記4(11月24日)

貸金業者による遅延損害金主張を信義則違反とした最高裁判決 最高裁平成21年9月11日
(「田舎弁護士の訟廷日誌(四国・愛媛)」様ブログ 11月24日付より抜粋ご紹介)http://shimanami.way-nifty.com/report/2009/11/post-1f15.html
 
『日弁連消費者問題ニュースN0133号(2009年11月号)に、貸金業者による遅延損害金主張を信義則違反とした初の最高裁判決(平成21年9月11日判決)が紹介されていました。

 貸金業者が利息制限法1条の金利規制を免れる方法として、①貸金業法43条のほか、②期限の利益当然喪失特約・遅延損害金による利息制限法4条の主張がなされることがよくあります。

 これについては、多くの裁判所は、期限の利益喪失の宥恕等の法理により、貸金業者の主張を排斥する判断が行われてきました。

 しかし、「損害金」と記載した領収書を送付しながら分割払いを続けさせた事案については、遅延損害金主張を認める裁判例もありました。

 今回の最高裁判決は、貸金業者シティズの期限の利益喪失・遅延損害金主張を信義則違反とした大阪高裁の判断を認めて、シティズの上告を棄却したわけです。

 最高裁は、債務者の誤信を招くような貸金業者の対応のために、期限の利益を喪失していないものと信じて支払いを継続した場合には、遅延損害金の主張は許されないことになります。

 貸金業者の対応とは、

 担当者の言動に限らず、

 書面の記載内容や貸金業者の不作為も含まれるとされています。

 例えば、ATMで交付される領収書に、次回支払い期日や次回支払い金額の記載があれば、誤信を招く対応と評価されうることになります。

 今回の案件では、文書提出命令で、交渉経過記録(貸金業法施行規則16条1項7号)をシティズに提出させ、償還表等の交付書面も合わせて取引状況の分析を行った上で、詳細な本人陳述書を作成しているようです。

・・・ 』

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