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2009.11.09

■平成21年11月9日最高裁判決(CFJ判決)「弁護士費用」・・・(民法704条後段の規定は,悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではない)(追記:判例に一考あり!)

‥‥……━★

こんにちは。

今日は,酒井法子(ノリピー)の判決がありました。執行猶予ですが・・・計画性のある方なので計画通り強い意志で更生される事を見守りたいですね。。。

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さて,本題です。

月曜に最高裁判決が出るのは異例?かも知れません。。。最近の傾向は週末が多かったので驚きました。。。

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■最高裁HPより
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=38149&hanreiKbn=01

事件番号平成21(受)247
事件名不当利得金返還請求事件
裁判年月日平成21年11月09日
法廷名最高裁判所第二小法廷
裁判種別判決
結果破棄自判
判例集巻・号・頁

原審裁判所名札幌高等裁判所   
原審事件番号平成19(ネ)260
原審裁判年月日平成20年10月16日

判示事項
裁判要旨民法704条後段の規定は,悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず,悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではない
参照法条
全文

   

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以下PDFよりご紹介(リンク先をご確認下さい)→ http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091109112425.pdf

主文

1 原判決中上告人敗訴部分を破棄する。

2(1)  第1審判決中民法704条後段に基づく損害賠償請求に係る上告人敗訴部分を取り消す。
 (2) 前項の部分に関する被上告人の請求を棄却する。

3 民法704条後段に基づく損害賠償請求に係る被上告人の附帯控訴を棄却する。

4 訴訟の総費用は,これを4分し,その3を上告人の負担とし,その余を被上告人の負担とする。

理由

上告代理人前田陽司,同長倉香織の上告受理申立て理由について

1 本件は,被上告人が,貸金業者であるA株式会社及び同社を吸収合併した上告人との間の継続的な金銭消費貸借取引に係る各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の制限利率を超えて利息として支払われた部分を元金に充当すると,過払金が発生しており,かつ,それにもかかわらず,上告人が残元金の存在を前提とする支払の請求をし過払金の受領を続けた行為により被上告人が精神的苦痛を被ったと主張して,不当利得返還請求権に基づき,過払金合計1068万4265円の返還等を求めるとともに,民法704条後段に基づき,過払金の返還請求訴訟に係る弁護士費用相当額の損害賠償108万円とこれに対する遅延損害金の,同法709条に基づき,慰謝料及び慰謝料請求訴訟に係る弁護士費用相当額の損害賠償105万円とこれに対する遅延損害金の各支払を求める事案である。
なお,不当利得返還請求権に基づき過払金の返還等を求める部分は,原審においてその訴えが取り下げられ,また,民法709条に基づき損害賠償の支払を求める部分については,同請求を棄却すべきものとした原判決に対する被上告人からの不服申立てがなく,当審における審理判断の対象とはなっていない。

2 原審は,次のとおり判断して,被上告人の民法704条後段に基づく損害賠償請求を認容すべきものとした。
 民法704条後段の規定が不法行為に関する規定とは別に設けられていること,善意の受益者については過失がある場合であってもその責任主体から除外されていることなどに照らすと,同条後段の規定は,悪意の受益者の不法行為責任を定めたものではなく,不当利得制度を支える公平の原理から,悪意の受益者に対し,その責任を加重し,特別の責任を定めたものと解するのが相当である。したがって,悪意の受益者は,その受益に係る行為に不法行為法上の違法性が認められない場合であっても,民法704条後段に基づき,損害賠償責任を負う。

3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 不当利得制度は,ある人の財産的利得が法律上の原因ないし正当な理由を欠く場合に,法律が公平の観念に基づいて受益者にその利得の返還義務を負担させるものであり(最高裁昭和45年(オ)第540号同49年9月26日第一小法廷判決・民集28巻6号1243頁参照),不法行為に基づく損害賠償制度が,被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し,加害者にこれを賠償させることにより,被害者が被った不利益を補てんして,不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするものである(最高裁昭和63年(オ)第1749号平成5年3月24日大法廷判決・民集47巻4号3039頁参照)のとは,その趣旨を異にする。不当利得制度の下において受益者の受けた利益を超えて損失者の被った損害まで賠償させることは同制度の趣旨とするところとは解し難い。

 したがって,民法704条後段の規定は,悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて,不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず,悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではないと解するのが相当である。

4 以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。これと同旨をいう論旨は理由があり,原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして,上告人が残元金の存在を前提とする支払の請求をし過払金の受領を続けた行為が不法行為には当たらないことについては,原審が既に判断を示しており,その判断は正当として是認することができるから,被上告人の民法704条後段に基づく損害賠償請求は理由がないことが明らかである。よって,被上告人の民法704条後段に基づく弁護士費用相当額の損害賠償108万円及びこれに対する遅延損害金の請求を107万1247円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容し,その余を棄却した第1審判決のうち上告人敗訴部分を取り消し,同部分に関する被上告人の請求を棄却し,上記請求に係る被上告人の附帯控訴を棄却することとする。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 今井功  裁判官 中川了滋  裁判官 古田佑紀  裁判官 竹内行夫)

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☆今日の一言☆

まだよく読み込めていないのですが・・・,「不法行為」に対してはまだまだ壁が厚そうです。。。

ただ今回の判決には何かヒント?が隠されているような気がしましたが・・・。

ご解説いただける記事が見つかりましたら,追記させていただきます<(_ _)>

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(追記1)

今回の判決は「弁護士費用」に対して,とても厳しい判断を下したようです。。。

以下各ブログ様より慎んでご紹介させていただきます<(_ _)>

過払金返還請求訴訟の弁護士費用
(「田舎弁護士の訟廷日誌(四国・愛媛)」様 11月9日付より抜粋ご紹介)
http://shimanami.way-nifty.com/report/2009/11/post-1ba0.html

本日、最高裁から、とてもとても残念な判決がでました。

 過払金返還請求訴訟についての弁護士費用を、事実上否定した最高裁判決です。

 この過払金返還請求訴訟の実体をまるでわかっていない判決を出したのは、最高裁第2小法廷の判決で、例によって、他の小法廷も追随した判決を出すものと予想されます。

・・・』

詳細は上記リンク先にてご確認下さい<(_ _)>

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(追記2)

民法704条後段と過払回収の弁護士費用
(「福岡若手弁護士のblog」様 11月9日付より抜粋ご紹介)
http://ameblo.jp/fben/day-20091109.html

『 また借主保護から一歩後退

 争点は過払い金の返還請求にかかる控訴審での弁護士費用108万円について民法704条後段により業者が支払義務を負わされるか否かに絞られていた案件です。
・・・』

詳細は上記リンク先にてご確認下さい<(_ _)>

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下記の所でさらに分かり易く書かれていますので,ご参照下さい<(_ _)>

(追記3:11月14日)

最高裁、民法704条後段の規定は不法行為責任について注意的に定めたものに過ぎないと判示

(「JAPAN LAW EXPRESS 」様 11月13日付)http://japanlaw.blog.ocn.ne.jp/japan_law_express/2009/11/704_8cb7.html

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今回の判決は「CFJ」だったようです・・・。慎んでご紹介させていただきます<(_ _)>

(追記4:12月13日)

民法704条後段の損害賠償は不法行為あるときのみ 最高裁判決
(「日本金融新聞」様HPよりご紹介) http://www.financenews.co.jp/a/0911205.html

最高裁は11月9日、過払い返還請求訴訟に付随して請求された民法704条後段による損害賠償請求に付いて、「悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず、悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではない」との判断を示し、損害賠償を認めた原審を取消した。
 これは、消費者金融会社CFJに対して提訴された過払金返還請求事件だが、①民法704条後段(なお損害があるときは、その賠償の責任を負う)に基づき、「やむなく弁護士に依頼した弁護士費用」が損害にあたるとして弁護士費用と遅延損害金を請求、②さらに利息制限法に元本が消滅していたにも関わらず請求していた行為が不法行為であるとして慰謝料及び弁護士費用をと遅延損害金の損害賠償請求をしたもの。
 第一審(札幌地裁、2007年7月20日)は過払金及び法定利息金1071万円の返還を認めるとともに、①の請求についての一部(過払い金及び法定利息金の10%にあたる107万円)を損害金として認めた。また、②については不法行為を構成するとまで言えないとして棄却した。これに対して①の損害賠償を認めた部分についてCFJが控訴、被控訴人である過払金返還請求請求者側は①の残部と②の請求を求めて付帯控訴を行った(過払金返還請求部分については支払ったため争いはない)。
 原審(札幌高裁、2008年10月16日)は、控訴を棄却するとともに①について被控訴人の請求通り弁護士費用108万円と法定利息の支払に変更し、②については棄却した。このため、CFJが上告していた。被上告人は②を棄却されたことについては不服の申立を行っていないので、審理判断の対象は①だけとなっている。
 原審は、「悪意の受益者は、その受益に係る行為に不法行為法上の違法性が認められない場合であっても」損害賠償責任を負う、と判断したものだが、これに対して最高裁は、不当利得制度と不違法行為に基づく損害賠償制度はその趣旨が異なることから、「不当利得制度の下において受益者の受けた利益を超えて損失者の被った損害まで賠償させることは同制度の趣旨とするところとは解しがたい」とした上で、「民法七〇四条後段の規定は、悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて、不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず、悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではないと解するのが相当である」とした。さらに、②の請求行為が不法行為にあたらないと原審が判断したことは「正当として是認することができる」として、この損害賠償は理由がないとしたもの。
 請求行為が不法行為を構成するかどうかについては、9月4日の最高裁判決において「社会通念に照らして著しく相当性を欠く場合に限られる」との判断が示されている。 』

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CFJも1000万円超えの案件だったので,必死だったのかも知れません。。。

「不当利得制度と不違法行為に基づく損害賠償制度はその趣旨が異なることから・・・」

うーん・・・「不違法行為に基づく損害賠償」でなら判断が違っていたかも知れませんね??

(今夜はこれで失礼します)

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(追記:H22年4月9日)

下記では,今回の判決内容が非常に分かり易く書かれています。

さらに特筆なのは,今回の判決には「一考」があると締めくくられている点です!

速報判例解説
http://www.tkclex.ne.jp/commentary/property.html

民法(財産法) No.30 (文献番号 z18817009-00-030300451) 2010/4/5掲載

民法704条後段に基づく悪意の受益者に対する損害賠償請求(最高裁判所第二小法廷平成21年11月9日判決

名古屋学院大学准教授 仮屋篤

PDF→ http://www.tkclex.ne.jp/commentary/pdf/z18817009-00-030300451_tkc.pdf

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上記の記述を見ますと・・・「グレーゾーン金利」に対する再考により,今回の最高裁判例とはまた違う答えがあるのかも知れません。。。

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