■平成21年9月4日最高裁判決「不法行為の構成定義」の続報2・・・(所感:不法行為定義への「アプローチ?」)
‥‥……━★
こんばんは。
北朝鮮から寒い便りが報道されました。
本日,韓国の延坪島に北朝鮮軍が砲撃!
とてもショックなニュースです。
近海に「中国」の漁業監視船がいたら・・・,撃たなかったかも知れませんね。。。
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さて,本題です。
昨年の事になりますが,過払い金に対して最高裁から初めて「不法行為」についての「構成定義」が示されました。
『貸金業者が借主に貸金の支払を請求し借主から弁済を受ける行為が不法行為を構成する場合 』
という内容でした。
その後,「ベル法律事務所」様が「損害賠償ができる」と書かれていました。
既報→■平成21年9月4日最高裁判決「不法行為の構成定義」の続報・・・(不法行為に基づく損害賠償請求ができる!?)「ベル法律事務所」様メルマガより(追記)
http://yuuki.air-nifty.com/go/2009/09/post-de3c.html
気がつけば,もう1年以上も経ったのですね・・・。
あれから「出来ない?出来る?」という事に対して,ずっと引っかかっていました。
今回少し整理ができましたので,新たな「アプローチ」として述べてみたいと思います。。。
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それでは,平成21年9月4日最高裁第二小法廷判決文(抜粋)から,再度見直してみたいと思います。
『・・・・・
4 そこで検討するに,一般に,貸金業者が,借主に対し貸金の支払を請求し,借主から弁済を受ける行為それ自体は,当該貸金債権が存在しないと事後的に判断されたことや,長期間にわたり制限超過部分を含む弁済を受けたことにより結果的に過払金が多額となったことのみをもって直ちに不法行為を構成するということはできず,これが不法行為を構成するのは,上記請求ないし受領が暴行,脅迫等を伴うものであったり,貸金業者が当該貸金債権が事実的,法律的根拠を欠くものであることを知りながら,又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのに,あえてその請求をしたりしたなど,その行為の態様が社会通念に照らして著しく相当性を欠く場合に限られるものと解される。この理は,当該貸金業者が過払金の受領につき,民法704条所定の悪意の受益者であると推定される場合においても異なるところはない。
本件において,被上告人の上告人に対する貸金の支払請求ないし上告人からの弁済金の受領が,暴行,脅迫等を伴うものであったことはうかがわれず,また,第1取引に基づき過払金が発生した当時,貸金業法43条1項(平成18年法律第115号による改正前のもの)により,制限超過部分についても一定の要件の下にこれを有効な利息債務の弁済とみなすものとされており,しかも,その適用要件の解釈につき下級審裁判例の見解は分かれていて,当審の判断も示されていなかったことは当裁判所に顕著であって,このことからすると,被上告人が,上記過払金の発生以後,貸金債権が事実的,法律的根拠を欠くものであることを知りながら,又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのにあえてその請求をしたということもできず,その行為の態様が社会通念に照らして著しく相当性を欠くものであったとはいえない。したがって,被上告人が民法704条所定の悪意の受益者であると推定されるとしても,被上告人が過払金を受領し続けた行為は不法行為を構成するものではない。
・・・・・』
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今回,上記の赤字のところを取り上げてみたいと思います。
「貸金債権が事実的,法律的根拠を欠くものであることを知りながら」
→消費者金融が,悪意の受益者(貸金業法で17条・18条書面の交付が出来ていない)であることは,社会通念上でも相当のようです。。。
「又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのにあえてその請求をしたということもできず」
→容易に知り得た・・・その通りですね。。。
→あえてその請求をしたということもできず・・・ここは違うかと思われます(後述にて)
「その行為の態様が社会通念に照らして著しく相当性を欠くものであったとはいえない」
→社会通念に照らして著しく相当性を欠くもの・・・具体的な内容が述べられていません。
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上記で違うかと思われた所を考えてみたいと思います。
「貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのにあえてその請求をしたと」
この部分は原審の内容が分らないのでよく分りませんが・・・「あえて請求をした」と思えてなりません。。。
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ヒントは10年前に遡ります。
今年(平成22年)から見ての時効10年は,平成12年になります。
この年は,
2月17日に「特定調停法」が施行。
(Q5 特定調停手続は,どのように進められるの?)
4月1日に「民事再生法」が施行。
6月1日に「出資法での上限金利が40%→29.2%」に変更と,
金融関係では,とても大きな動きがあった年でした。。。
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その中で,「特定調停法」にヒントがあるのではと思案しました。
最近で「過払い金返還訴訟」ではまた「調停」に戻り,「17条決定」が盛んに出ている「ようですね・・・。
その「特定調停」は当時としては画期的な事でした(本人が少額で申し立て出来き,執拗な支払い督促が止まったからです)
そして,何といっても「利息制限法」に引き直しをされるのですから。(上記のQ5でも書かれています)
ここで大事なのは「悪意の受益者」かどうかは関係無く,取引履歴を「利息制限法」で引き直されることです。。。
そして各貸金業者からは「調停委員会」に引き直しされた計算書(業者により出し渋る所がありました)をしぶしぶ出した経緯がありました。。。
当然中には,「過払い」になっていて「計算書」を出さずに「ゼロ和解=債権債務無し」の17条決定を求める業者がいました。
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このことから,貸金業者は遅くとも平成12年には「利息制限法」に引き直すと「過払い金」が発生することを「容易」に知り得たのではないでしょうか?
貸金業者は,知っていたのです・・・「過払い金」が発生していたかもしれないという事実を!
つまり,最高裁が示した構成要件の「請求をしたということが”できた”」ということになります。
「悪意の受益者」かどうかは問題ではなく,「架空請求」かも知れないものを出し続けてきた・・・。
「その行為の態様が社会通念に照らして著しく相当性を欠く場合に限られるものと解される」ことになり得る可能性が高いと思われます。。。
よって,「不法行為」が認められるのではないか?
と思案した次第です<(_ _)>
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沢山ある,昔の最高裁判例からです。。。
(ご参考)
■消費者金融等に関する判例集(金銭消費貸借,貸金業法を巡る諸問題に関する判例集)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~Jusl/Hanrei/Kasikin/SKhanrei.html#0
『
4 利息制限法違反の利息を目的とした準消費貸借契約の効力
○ 最高裁一小判昭和55.1.24判例時報956号53頁
(判決要旨)
「利息制限法所定の制限利率を超過する利息部分を目的とした準消費貸借契約は,その効力を生じない。」
』
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☆今日の一言☆
今回の「アプローチ」には無理があるのかも知れませんが・・・,「悪意の受益者」という言葉にあまりにも捕られ過ぎていたような気がしました。。。
どういうことが「社会通念上・・・」なのか?
今後,最高裁から「不法行為」に関する判決が出ることを待ちたいと思います<(_ _)>
(今夜はこれで失礼します)
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