2011.07.21

■平成23年7月21日最高裁判決(欠陥住宅判決「別府マンション事件」)・・・「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」には,放置するといずれは居住者等の生命,身体又は財産に対する危険が現実化することになる瑕疵も含まれる)(追記)

‥‥……━★

こんばんは。

スペースシャトルのエンデバーが無事に帰還しました。

「最後の「シャトル」帰還、30年の歴史に幕」 News i - TBSの動画ニュースサイト
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4782349.html

大画面ですから迫力があります・・・。

注目! スペースシャトルお宝写真~7月、ラストフライトへ - MSN産経フォト
http://photo.sankei.jp.msn.com/kodawari/data/2011/06/0626shuttle/

これはもう二度と見れない画像ですね。。。


最後の光跡(国際宇宙ステーションから撮影した、最後のスペースシャトル「アトランティス」の大気圏突入時の光跡(NASA提供)) - MSN産経フォト
http://photo.sankei.jp.msn.com/highlight/data/2011/07/23/6shuttle/

いろいろありましたが,最後の飛行が無事で良かった。。。

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それでは本題です。

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最高裁HPよりご紹介
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81511&hanreiKbn=02

事件番号        平成21(受)1019
事件名         損害賠償請求事件
裁判年月日      平成23年07月21日
法廷名         最高裁判所第一小法廷
裁判種別        判決
結果           破棄差戻し
判例集等 巻・号・頁

原審裁判所名     福岡高等裁判所
原審事件番号     平成19(ネ)576
原審裁判年月日   平成21年02月06日
判示事項

裁判要旨

 最高裁平成19年7月6日第二小法廷判決・民集61巻5号1769頁にいう「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」には,放置するといずれは居住者等の生命,身体又は財産に対する危険が現実化することになる瑕疵も含まれる

参照法条
全文 PDF→ http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110721142929.pdf

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(以下PDFよりご紹介)

主 文

原判決を破棄する。

本件を福岡高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人幸田雅弘,同矢野間浩司の上告受理申立て理由第2について

1 本件は,9階建ての共同住宅・店舗として建築された建物(以下「本件建物」という。)を,その建築主から,Aと共同で購入し,その後にAの権利義務を相続により承継した上告人が,本件建物にはひび割れや鉄筋の耐力低下等の瑕疵があると主張して,その設計及び工事監理をした被上告人Y1並びに建築工事を施工した被上告人Y2に対し,不法行為に基づく損害賠償として,上記瑕疵の修補費用相当額等を請求する事案である。なお,本件建物は,本件の第1審係属中に競売により第三者に売却されている。

2 第1次控訴審は,上記の不法行為に基づく損害賠償請求を棄却すべきものと判断したが,第1次上告審は,建物の建築に携わる設計・施工者等は,建物の建築に当たり,契約関係にない居住者等に対する関係でも,当該建物に建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負い,設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に上記安全性を損なう瑕疵があり,それにより居住者等の生命,身体又は財産が侵害された場合には,設計・施工者等は,不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限り,これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負うというべきであって,このことは居住者等が当該建物の建築主からその譲渡を受けた者であっても異なるところはないとの判断をし,第1次控訴審判決のうち同請求に関する部分を破棄し,同部分につき本件を原審に差し戻した(最高裁平成17年(受)第702号同19年7月6日第二小法廷判決・民集61巻5号1769頁。以下「第1次上告審判決」という。)。
これを受けた第2次控訴審である原審は,第1次上告審判決にいう「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」とは,建物の瑕疵の中でも,居住者等の生命,身体又は財産に対する現実的な危険性を生じさせる瑕疵をいうものと解され,被上告人らの不法行為責任が発生するためには,本件建物が売却された日までに上記瑕疵が存在していたことを必要とするとした上,上記の日までに,本件建物の瑕疵により,居住者等の生命,身体又は財産に現実的な危険が生じていないことからすると,上記の日までに本件建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵が存在していたとは認められないと判断して,上告人の不法行為に基づく損害賠償請求を棄却すべきものとした。

3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

(1) 第1次上告審判決にいう「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」とは,居住者等の生命,身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい,建物の瑕疵が,居住者等の生命,身体又は財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限らず,当該瑕疵の性質に鑑み,これを放置するといずれは居住者等の生命,身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合には,当該瑕疵は,建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当すると解するのが相当である。

(2) 以上の観点からすると,当該瑕疵を放置した場合に,鉄筋の腐食,劣化,コンクリートの耐力低下等を引き起こし,ひいては建物の全部又は一部の倒壊等に至る建物の構造耐力に関わる瑕疵はもとより,建物の構造耐力に関わらない瑕疵であっても,これを放置した場合に,例えば,外壁が剥落して通行人の上に落下したり,開口部,ベランダ,階段等の瑕疵により建物の利用者が転落したりするなどして人身被害につながる危険があるときや,漏水,有害物質の発生等により建物の利用者の健康や財産が損なわれる危険があるときには,建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当するが,建物の美観や居住者の居住環境の快適さを損なうにとどまる瑕疵は,これに該当しないものというべきである。

(3) そして,建物の所有者は,自らが取得した建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合には,第1次上告審判決にいう特段の事情がない限り,設計・施工者等に対し,当該瑕疵の修補費用相当額の損害賠償を請求することができるものと解され,上記所有者が,当該建物を第三者に売却するなどして,その所有権を失った場合であっても,その際,修補費用相当額の補填を受けたなど特段の事情がない限り,一旦取得した損害賠償請求権を当然に失うものではない。

4 以上と異なる原審の判断には,法令の解釈を誤る違法があり,この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。論旨は,上記の趣旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,上記3に説示した見地に立って,更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 金築誠志 裁判官 宮川光治 裁判官 櫻井龍子 裁判官 横田尤孝 裁判官 白木 勇)

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欠陥住宅「放置すれば危険」なら賠償責任 最高裁初判断:asahi.com(朝日新聞社)
http://www.asahi.com/national/update/0721/TKY201107210628.html

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(追記:7月24日)

今回の判決は,最高裁→福岡高裁(差し戻し)→再度「最高裁」判決!という2転3転した判決の過程だったようです。

上告代理人の「幸田雅弘」弁護士は,判決文に出ています。

下記のブログ様で「欠陥住宅」について詳しく書かれていましたので分かりました<(_ _)>

応援してあげて下さいね。

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平成23年7月21日最高裁の差し戻し判決~欠陥住宅訴訟 - 新日鉄グループで建てた家!!! 欠陥住宅北九州版
http://blogs.yahoo.co.jp/hiroka1913/26327652.html

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まだまだ「欠陥住宅」で闘っている方も多いと思いますので,今回の判決が及ぼす影響は「希望」への道筋かと思えます。

(追記終わり)

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☆今日の一言☆

いろいろなブログ等で出ています。

先日の更新料判決より,より影響力(金額的にも)が大きい判断と思われます。。。

特に,欠陥住宅問題で悩んでいる方には朗報の判決となりました!

また,「所有権を失っても損害賠償ができる」とありますので,過去に遡って請求するとなると大変な金額にもなります・・・。

更新料が無効だったなら・・・「第2の過払い金返還訴訟」といわれていましたが,今回の判断の影響力は大きいと思われます。。。

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(追記:7月25日)

ふと思ったのですが,今回の判決で,漏水等の瑕疵がある「賃貸マンション」に数年住んでいる場合・・・,先日の「更新料有効」の適用はどうなるのかな???

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(追記:10月4日)

下記で,いろいろな面から解説されています。

速報判例解説
http://www.tkclex.ne.jp/commentary/property.html

民法(財産法) No.52 (文献番号 z18817009-00-030520696) 2011/09/30掲載

「設計・施工者等」の不法行為責任の要件である「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」の意義(最高裁判所第一小法廷平成23年7月21日判決<LEX/DB25443576>)
http://www.tkclex.ne.jp/commentary/pdf/z18817009-00-030520696_tkc.pdf

(追記終わり)

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それにしても,今回の最高裁判決はとても具体的で親切に例をあげています!?

いつもこうだと分かりやすいのですが・・・。

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それから,コンピューターウイルスに関して逮捕者が出ました。

昨日はイカタコウイルス作成者への求刑があったばかりですが・・・。

イカタコウイルス作成者に懲役2年6カ月判決 東京地裁:asahi.com(朝日新聞社)
http://www.asahi.com/national/update/0720/TKY201107200130.html

今回は,保管?している事で逮捕です!ご注意を?(他にもいるのかな?)

「ウイルス保管罪を初適用、容疑者逮捕」 News i - TBSの動画ニュースサイト
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4781548.html

ネット社会ならではの事件ですね。。。

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それにしても,先週から最高裁の判断が多いです・・・。

(今夜はこれで失礼します)

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